「きものの似合う街大賞」でグランプリ受賞♪ 萩城下町で定番まちあるき

幕末の志士を数多く輩出し、歴史ある町並みが広がる山口県萩市。江戸時代の町割りがそのまま残る通りには着物姿がよく映え、「きものの似合う街大賞」では萩が初代全国グランプリに選ばれるほど! 萩城下町を訪ねたら、ぜひ着物姿で散策を。幕末にタイムスリップしたような気分も一緒に味わえる、定番の町あるきを紹介します。

「きものの似合う街大賞」でグランプリ受賞♪ 萩城下町で定番まちあるき

歴史と産業で近代化を図った城下町、萩はこんなところ

萩城跡を中心に、碁盤の目のように区画された町並みが美しい萩城下町。吉田松陰を筆頭に、高杉晋作、木戸孝允(桂小五郎)など、幕末から明治にかけて活躍した人材を多く輩出し、「明治維新胎動の地」として知られています。「松下村塾」や「萩・明倫学舎」といったゆかりの地や関連施設が点在し、見ごたえも満点。城下町の一部は「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつとして世界遺産に登録。その歴史ある町並みには着物がしっくりなじむことから、一般社団法人全国きもの街づくり協議会が実施する 「きものの似合う街大賞」では初代全国グランプリに選ばれました。なまこ壁や土塀の通りを散策したり、藩の御用商人を務めた豪商屋敷を見学したり、お気に入りの萩焼を探したり、観光の楽しみも盛りだくさん!

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着物ウイークin萩

秋の城下町を着物で楽しむ


毎年に秋に「着物ウィークin萩」というイベントが開催されます。着物を着ていると割引などの特典があり、ボランティアカメラマンが着物姿を撮影し、撮った写真をプレゼントしてもらえる嬉しいサービスも!着物に似合う和小物づくりなど、萩ならではの着物体験ができます。

着物ウイークin萩

手ぶらでラクラク!現地で着物をレンタル

風情ある萩城下町には、「Kimono Style Café」など着物をレンタルできる店が点在するのも萩の特徴。女性用はもちろん、男性用、子ども用もあるので、友だち同士、カップル、ファミリーなど幅広い層で着物を着られるのが魅力です。下駄や手提げなどの和小物のレンタルはもちろん、ヘアセットをしてくれるところもあり、まさに至れり尽くせり!着付けも20~30分でできるので、気軽にトライできるのもポイントです。着物レンタルは予約制なので事前に連絡しておくのを忘れずに。

庭園あり、なまこ壁の通りあり!由緒ある「菊屋家住宅」に着物姿が映える

まずは、萩藩御用達の豪商の屋敷である「菊屋家住宅」へ。こちらは約400年前の建造物で、現存する大型町屋の中では日本最古級と言われます。主屋、本蔵、金蔵、米蔵、釜場の5棟が重要文化財に指定され、約2000坪の敷地の約3分の1が公開されています。見どころは広々とした書院座敷から眺める庭園。縁側に座り見事な庭園を背景に写真を撮れば、まるで雑誌の切り抜きのような映える絵が撮れることでしょう! 新緑と紅葉の季節には、非公開である約500坪の枯山水の新庭が特別に開放され、季節の彩りを愛でながら庭園散策も楽しめます。またこちらの施設では「萩城下町とっておき体験プラン」も用意。着物体験、人力車体験、菊屋家住宅での抹茶体験が楽しめる内容で、着物姿で萩の魅力を満喫できると好評です。菊屋家住宅の白壁となまこ壁が続く「菊屋横町」もフォトジェニック。タイムスリップしたようなロケーションが次から次へと現れ、着物姿がいたるところで映えますよ。

休憩するなら、町並みに溶け込む和カフェへ

萩城下町には景観に溶け込むような古民家カフェ、ランチ自慢の喫茶店が点在しています。萩焼の器にこだわったり、ギャラリーを併設したりと各店の個性はさまざま。営業時間は午前10時ごろから夕方までの店が多いので、散策の途中に立ち寄るのがおすすめです。今回訪れた「ホトリテイ」は、広大な枯山水の庭園を眺めながらスペシャルティコーヒーが味わえることで人気のカフェ。歴史ある屋敷を活かした店内をリノベーションし、大きな木製カウンターが目を引きます。庭園にほど近い座敷席やテーブル席に座り、かわいいラテアートが施されたカフェラテと自慢のスイーツでほっとひと息。着物で気軽にコーヒーを飲むことができるのも、萩の良さのひとつです。

萩を代表する風景「堀内鍵曲」を歩く

かつて上級武士が暮らしたエリアの堀内重要伝統的建造物群保存地区では、左右を高い土塀で囲み、道を鍵の手(直角)に曲げた「鍵曲(かいまがり)」という独特な道筋が見どころ。よく萩のポスター撮影に使われる場所でもあり、着物姿が映える場所でもあるのです! 鍵曲は江戸時代から残る道筋で、当時に思いを馳せ写真を撮りながらゆっくりと歩いてほしい道。多くの武士たちもここを通ったと思うと、感慨深い気持ちです。また、萩では夏みかんの木があちらこちらで植えられ、白壁や土塀から黄色い夏みかんの実がのぞく風景は、萩ならではの風景として愛されています。

水上から町並みを眺める「萩八景遊覧船」

三角州上に形作られた水の都・萩で、橋本川をクルーズはいかがでしょう。約40分のコースでは、指月橋そばから出航する遊覧船に乗り、萩城下町や堀内重要伝統的建造物群保存地区を水上から眺めながら橋本川へ入ります。橋本川では白壁が続く平安古重要伝統建造物群保存地区を眺め、旧田中別邸先でUターン。天候の良い日はそのまま海まで出られる盛りだくさんのコースです。春は「桜観賞コース」、夏は「日本海観賞コース」や「夕日観賞コース」、秋は「桜紅葉観賞コース」を実施するなど、一年を通じて萩の風景を楽しめると好評です。

お気に入りを探しに、「萩焼」の専門店へ

萩でおみやげを探すなら、「萩焼」がおすすめです。約400年の伝統を誇る萩焼は素朴な風合いが特徴で、湯呑みや皿など日用使いの食器から芸術性が高い茶陶まで、幅広い器があります。萩焼は吸水性があり、細かなひび割れ模様の貫入(かんにゅう)から茶や水分が器に染みこみ、色合いが変化していきます。これを「萩の七化け」といい、使いながら器に味が出てくるのが他の焼き物にはない面白さです。市内には窯元が営むショップやセレクトセンスが光るギャラリーショップなど、多彩な店が点在。萩城下町にある「昭雲堂」もそのひとつで、古民家を利用した店内に有名作家の作品から日常使いの小物までが並んでいます。家族や友だちにはもちろん、自分用にもいくつか選んでショッピングを楽しみましょう。

萩藩の志士が学んだ「萩・明倫学舎」を見学

次に訪れたのは、萩観光のハイライト「萩・明倫学舎」です。ここは、吉田松陰や高杉晋作など著名な偉人を輩出した萩藩校明倫館跡地に、1935(昭和10)年に建てられた日本最大の木造校舎。近年まで実際に小学校の授業が行われており、2017年から観光施設としてオープンしました。無料で見学できる本館の復元教室には木の児童机が並び、どこか懐かしい気持ちに。木造の長い廊下もレトロな雰囲気で着物で写真撮影するには絶好のスポットです。有料の2号館には幕末ミュージアム、世界遺産ビジターセンターが入り、動乱の幕末期から産業の近代化の歴史までを紹介。本館にはカフェやレストラン、おみやげショップ、観光インフォメーションセンターを併設するので、萩の観光起点としても便利です。

散策を楽しんだら着物を返却

夕暮れが迫り、着物を返却する時間です。「Kimono Style Café」は18時までの返却。毛利藩士が過ごした武家屋敷をリノベーションした店内は着物がしっくりとなじむ和の空間で、最後に着物姿でシャッターを切りました。早めに着いたら併設する喫茶スペースで一息つくのもおすすめです。

萩城下町に1泊してゆっくりと過ごして

見どころがコンパクトに集まり、カフェなどの休憩スポットも多いため、着物でも疲れず散策できるのが萩城下町の魅力。少し距離がある場所は、萩の見どころを網羅する「萩循環まぁーるバス」の利用が便利です。萩城下町の周辺には個性豊かな温泉宿や旅館が集まり、1泊してゆっくり過ごすのが似合う町。着物体験だけでなく、萩焼体験、ガラス体験、ガイドウォークなども楽しめるので、こちらもチェックしてください。

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まち歩きのおともに古地図はいかが?

江戸の町へタイムスリップ


江戸時代につくられた古地図をもとにしたリーフレットを眺めながら、地元ガイドの案内で町を歩くガイドウォークを実施中。萩城城下町を実際に歩いてみると、往時とあまり変化がないことに驚くはず。萩市では6コースの古地図めぐりができますよ。