散策を兼ねて器を買いに。萩焼と美味のマリアージュも楽しんで

画像:萩城下町。この通りの先に素敵なギャラリーが点在



散策を楽しみながら、お気に入りの器を見つけたい。美味しいランチや和食も味わいたい。そんな方にお勧めしたいのが萩城下町界隈。毛利氏の居城・萩城のお膝元として栄え、上・中級武士たちの屋敷も現存しているエリアだ。白壁が続く風情ある街並みを歩いていくと小さいけれど品の良い佇まいの器店が点在している。作家物から量販品までさまざまだが、萩焼への思い入れが強い店主のやきもの蘊蓄(うんちく)を聞くのも楽しい。カフェ併設の店もあるので、ゆっくりと巡ってみたい。また、地元の美味を萩焼の器でいただくというのも贅沢な体験。散策の後で、ぜひ楽しんでいただきたい。

                             

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取材・文:片岡道子 

書家・工芸ライター  

一般社団法人師・フォーラム代表理事

日本ペンクラブ会員

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散策を兼ねて器を買いに。萩焼と美味のマリアージュも楽しんで

萩焼の器で山口県の美味を味わう

  • 三輪休雪ご当代の白釉丸皿でフグのお刺身をいただく

画像:三輪休雪ご当代の白釉丸皿でフグのお刺身をいただく



萩皿は料理が映える…とは料理人の言葉。白釉をはじめ、柔らかな色合いが素材の色や盛り付けを引き立てるのだと。もとより山口県は山海の珍味が豊富で銘酒も多く、器と地元の美味の二重奏で旅人を魅了してきた。温泉に浸かり、宿でくつろぎながら舌鼓を打つのも良し、街に出て老舗の味を堪能するも良し、ランチ一つでも侮れない極上の素材が迎えてくれる。予約時に萩の器でとお願いしておくと快く応じてくれる店もあるので、行く際に確認してみてはいかがだろう。そんな店の一つ、割烹「千代」で、何品か萩ならではのメニューを堪能してみた。同じ魚でも季節が変われば味わいも異なるとのこと、また訪れてみたい。

旬の味わいを大切に。彩も美しく。

  • 子持ち烏賊の煮付け
  • 鯛の南蛮漬け
  • アマダイのパリパリ揚げ
  • 黒雲丹ご飯(小粒で甘い)4~9月までは赤雲丹が美味
  • 枇杷色の徳利と盃が人肌燗を想わせる温かさ
  • 白萩釉のぐい飲み。どれも掌に収まりが良い

画像1:子持ち烏賊の煮付け 画像2:鯛の南蛮漬け 画像3:アマダイのパリパリ揚げ 

画像4:黒雲丹ご飯(小粒で甘い)4~9月までは赤雲丹が美味 

画像5:枇杷色の徳利と盃が人肌燗を想わせる温かさ

画像6:白萩釉のぐい飲み。どれも掌に収まりが良い



地元の人にも人気のある「割烹千代」は1966年に現在の三代目ご主人の祖母、千代乃さんが女将として創業。お母様が2代目として活躍し、その後を継いだのがご当代の河村剛太郎さん。萩焼の作家との交流も深く、三輪窯のご当代からいただいた白釉丸皿や兼田昌尚さんの刳り貫きのぐい飲みなどがさりげなく飾られている。もちろん、その器で飲むこともできる。器談義などをしながら季節の料理をいただく幸せは人生のご褒美だ。ぜひ自分へのプレゼントとして山口県の旅の行程に入れておきたい。

Column

萩の旬の味わいを堪能しにいらしてください。

[店舗情報]

割烹千代

お座敷30名最大 カウンター8席(基本は要予約)

住所:萩市今古萩20-4

電話:0838-22-1128 FAX:0838-22-1137

e-mail:kappou@chiyo.in


画像:3代目ご主人、河村剛太郎さん


萩の旬の味わいを堪能しにいらしてください。

萩城下町の古民家レストランでランチを

  • 野菜もお肉もたっぷり。地元の食材を使ったワンプレートランチ

画像:野菜もお肉もたっぷり。地元の食材を使ったワンプレートランチ


高杉晋作生家の斜め裏に位置する「庭園カフェ 畔亭(ほとりてい)」は、約800坪の敷地に枯山水の庭園、インテリアのすべてがお洒落な築70年の古民家、萩焼のお皿に盛られたハンバーグやカレーなど、すべての要素が上質な人気のレストランだ。ここで過ごすランチタイム、カフェタイムは萩の城下町散策を彩る至福のひととき。ぜひとも訪れていただきたい。


[店舗情報]

庭園カフェ 畔亭

住所:萩市南片河町62

電話:0838-22-1755

営業時間:11:00~17:00 不定休


Column

地元ライターが行ってみた!
萩でのんびり日帰り女子旅!

城下町エリアは町並みがとても魅力的で、古民家を改装したカフェや萩焼ギャラリーを巡って楽しむこともできます。地元ライターが、萩焼でランチを楽しめる「庭園カフェ 畔亭(ほとりてい)」などを日帰りで満喫してきました。

地元ライターが行ってみた!

佇まいが奥ゆかしい「萩焼 おうぎ窯のみせ」

  • 作家兼ギャラリーオーナーの佐久間正和さん
  • 片口やマグカップなど使いやすそうな器が並ぶギャラリー

画像1:作家兼ギャラリーオーナーの佐久間正和さん 

画像2:片口やマグカップなど使いやすそうな器が並ぶギャラリー



窯元や作家自身が経営している店も多く、武家屋敷街の真ん中に立つ店の佇まいが奥ゆかしい「萩焼 おうぎ窯のみせ」もその一つ。扇窯という窯元で作陶した商品を販売している。陶芸家でありギャラリーのオーナーである佐久間正和さんは、生活の中で気軽に使えて愛着が増す器づくりにこだわっている。ご自身の代で開窯したというだけに、従来の萩焼のイメージだけに固執せず、土の配合にも挑戦して硬質な質感のものなども。全体としては温かみのある緋色が印象的な器が多く、値段も手頃で普段遣いに楽しめそうだ。

Column

木造平屋建ての上品な佇まいは一つの風景のよう

[店舗情報]

萩焼 おうぎ窯のみせ

住所:萩市南古萩町25-7

電話:0838-26-4077(FAXとも)

e-mail:ougi2003h15@gmail.com


木造平屋建ての上品な佇まいは一つの風景のよう

作家ものからワンコインのぐい飲みまで勢揃い

萩城下町の入り口にある「萩焼 あらせ」は老舗として名高く品ぞろえも多彩だ。萩焼を代表する大御所の作品から、キッチンで役立ちそうな普段使いの雑器までたくさんの器が所狭しと並べられて、目移りしているうちに気分が高揚してしまうほど。ご主人の荒瀬国太郎さんは、毎年東京ドームで行われる「テーブルウェア・フェスティバル」にも欠かさず出店しているそうで、萩焼のPR活動にも積極的だ。店内には山口県の地酒を萩焼の酒器で味わってもらおうと立ち飲みコーナーも設けている。お気に入りのぐい飲みを見つけたら、それで一杯試してみても楽しいのでは。

Column

好きな器で山口県の銘酒が飲めるコーナーも

[店舗情報]

萩焼 あらせ ~Hagind

住所:萩市南古萩町35-8

電話:0838-22-2315 FAX:0838-22-1775

e-mail:arase@hagind.jp


画像:どのお酒も500円で飲める立ち飲みスペース


好きな器で山口県の銘酒が飲めるコーナーも

Column

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