【獺祭】世界中で愛される日本酒の秘密を探る!酒蔵見学&飲み比べ徹底解説!
今回は、私まりっぺが獺祭の酒蔵「旭酒造」を見学させていただき、美味しい酒づくりの秘密を徹底解説!
後半では「磨き二割三分」、「磨き三割九分」、「純米大吟醸45」の3種類を飲み比べ、それぞれの特徴もご紹介します♪
「日本酒が苦手だったときも、獺祭だけは飲めた」という自身の経験を活かして、普段あまりお酒を飲まない方にもおすすめな獺祭をご紹介します♪
- まりっぺ
- 222pv
獺祭とは?
獺祭は、岩国市周東町にある「旭酒造株式会社」が作る、1990年に誕生した純米大吟醸(日本酒)です。
日本酒というと、「辛口」のイメージがある方もいるかと思いますが、獺祭はとってもフルーティー。梨のような甘い香りがふんわりと鼻に抜けるので、日本酒を飲み慣れていない方でも美味しく飲めちゃいます♪
また、後味がさっぱりしており、美味しさの余韻が続く――そんなお酒です。
この名前は、当時の社長で現会長の桜井博志さんが天啓のごとく閃いて名付けたということですが、その由来はこちらです。
①「獺」という漢字は、旭酒造がある「獺越(おそごえ)」という地名の一字と同じであること
②「獺祭」という言葉が、“書物や参考資料を広げて詩文を練っている姿”を意味していること
③俳人・歌人である正岡子規の別号の一つが、「獺祭書屋主人」だったこと
獺(かわうそ)の祭りと書いて「獺祭」と読みますが、この言葉はそもそも“書物や参考資料を広げて詩文を練っている姿”が、“獺が捕獲した魚を河原に並べるという習性を連想させる”ことから名付けられました。
また、正岡子規の進取(自ら進んで物事に取り組むこと)の精神に共鳴していた当時の桜井社長の「伝統や手作りなどの言葉にあぐらをかかず、より美味しいお酒を造っていこう」とする決意表明の意味もあります。
旭酒造は、製造途中で生まれる酒粕を使ったスイーツや化粧品なども手がけていますが、獺祭以外のお酒は造っていません。
精米歩合の比率にかかわらず、旭酒造で造られたお酒はすべて獺祭と呼んでいます。
■住所:岩国市周東町獺越2128
■TEL:0827-86-0800
■営業時間:9:00~17:00
■駐車場:約10台分(本社前)と38台 ※まりっぺ調べ
公式HPには、このように書かれています。
“真に美味しい酒は、誰が飲んでも美味しいモノです。
旭酒造は真に美味しい酒を目指します。 ”
「酔うため、売るためのお酒を造らない」という信念と「飲んだ人が幸せになるお酒造り」を徹底した結果、世界中で愛されるブランドにまで成長したということですね
獺祭って、何がすごいの?
旭酒造には、一般的な酒蔵とは異なる3つの特徴があります。
①杜氏がいないこと
②酒造りの工程の情報をデータ化していること
③四季醸造(通年醸造)であること
旭酒造株式会社には、お酒造りに欠かせない杜氏(酒造りを行う職人集団の最高責任者)がいません。
一般的なお酒造りは、冬場に杜氏を中心とした職人さんたちが蔵元に集まって行うのですが、旭酒造では精米~瓶詰めまでの酒造りの工程の情報をデータ化し、経験と勘に頼らないお酒造りをしています。
お酒造りと聞くと、寒い中で職人さんが白い息を吐きながら作業している場面を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、獺祭は一年中お酒が造れる環境を整えているため、四季醸造(通年醸造)が可能です
日本酒の原料となるのは、最高級の山田錦。一般的な酒米よりも高価なお米を削って、美味しい純米大吟醸を造っています。
米と米麹、水だけで造り、醸造アルコールや糖類などを添加しないお酒を「純米酒」と言いますが、「純米大吟醸」とは、これに加えて米の50%以上を削り落とし、低温の状態で一ヶ月以上にわたり発酵させて造ったお酒のことを言います。
要するに、純米大吟醸は“手間も時間もコストもかけられた最高品質のお酒”ということですね
獺祭ができるまで♪~酒蔵潜入レポ~
2024年4月からは、毎日蔵見学を実施しています。
獺祭の製造過程を間近で見たい方、獺祭について質問したいことがある方は、ぜひこちらから予約してくださいね♪
帽子とマスク、白衣を着用して…いざ、旭酒造の酒蔵に潜入です♪
【蔵見学】
白衣代:300円
有料試飲代:300円(運転される方は試飲できません)
旭酒造株式会社では現在190~200人の方が働いており、洗米・蒸米・麹造り・仕込み・上槽・瓶詰めの6つの工程で獺祭を造っています。
【①洗米】
こちらが、原料処理室と呼ばれる、洗米場。
洗米機を使うこともあるそうですが、基本的に洗米は手で行っているそうです。
使うお水の温度は、5℃!冬場は特に大変そうですね…。
画像中央の大きな袋に入っているのは、洗米されたお米。
基本的には、一日6~8tほどのお米を洗っているそうです
獺祭に使う「山田錦」は割れやすいため、約10㎏ずつ小分けにして丁寧に洗っています。
全国からお米を取り寄せているため、気温によってお米の溶けやすさはバラバラ。そのため、それぞれのお米に合わせた洗米を行い、お米を引き上げる時間も、タイマーを使って1秒単位で管理しているそうです。
【②麹造り】
湿度が高くて蒸し暑いこちらの麹室(こうじむろ)では、毎週12,000㎏もの米麹が造られています。
米麹とは、蒸し米に麹菌というカビの胞子を振りかけて育てたものです。
日本酒は麹菌がデンプンを糖に変え、酵母菌が糖をアルコールに変化させることによってできるため、麹造りはとても重要な工程。
室内の温度は38~40℃、湿度は40~50%の環境下なので、蔵人さんは途中で何度も着替えながら行うそうです
麹は人の手によって植えられますが、作業をするステンレス台の下には、お米の乾燥状態を測定する装置がついています(画像中央左)。
こちらでも数値による「見える化」で、“経験と勘に頼らないお酒造り”をしているのですね。
また、麹をほぐすのも手で行います。
お米の水分量がどれだけ残っているかは、“手触り”で確認しているそうですよ。
お米の表面は乾きやすく中は酸素が薄いので、こちらでは酸素の供給や温度を下げるための作業をしています。
麹は生き物。麹が発酵熱を出して温度が上がるため、この作業は夜通し行われるそうです
麹室は木を使った場所が多いのですが、木は腐りやすいので周囲をステンレスで覆い、除湿機を使って部屋の温度を管理。
風も分散させて、水分を飛ばしやすい環境になっています。
【③仕込み】
旭酒造では初添え、仲添え、留添えという「3段仕込み」の流れでお酒を造っています。
蓋が閉まっているタンクの中に入っているのは、もろみ(醪)です。
もろみとは、日本酒になる前段階の、麹と蒸米と水が入ったドロドロの液体のこと。このもろみを絞ってお酒ができあがります
このタンク1本で、だいたい一升瓶が1000本絞れるくらいの量(約1800L)が造られるそうですよ。
もろみは30~35日くらいの発酵期間を経て絞られるのですが、この期間は温度を見ながら管理しているそうです。
Q.なぜ温度管理をしないといけないの?
A.もろみには麹というお米を溶かす酵素を出す微生物と、酵母というアルコールを造る微生物の2種類がいます。麹がお米を溶かして糖にしたものを食べて酵母がアルコール発酵するので、この微生物たちをコントロールする必要があるためです。
アルコール発酵しているため、二酸化炭素が発生中!
ぶくぶくと泡が出ていますね
こちらは、仕込み序盤のもろみです。
さきほどの画像と比べると、全然違いますね!これぞ麹&酵母パワー
もろみの温度は均一でなければならないので、機械で管理ができません。
そのため、「櫂入れ(かいいれ)」という、人の手によってもろみをかき回す作業が必要です。
タンクは櫂入れができるように、あえて小さめのものを使用しているそう。
人員が必要なのでそれだけコストもかかりますが、良いお酒を造るためには必要な作業ということですね
【④上槽】
上槽(じょうそう)とは、もろみを絞ってお酒と酒粕に分けることです。
この圧搾機にもろみが流れ込んでくるので、それを後ろからプレスします。ここで出た酒粕は、焼酎として利用しているそうですよ。
絞った翌日には、会長や社長、製造部長たちが集合!なんと、品質確認のための利き酒を毎日行っているそうです
旭酒造では、商業ベースでは初めて遠心分離機を導入しました。
遠心分離機を使うと無加圧状態でもろみからお酒を分離できるので、純米大吟醸本来の香りや味が崩れないそうです。
ただ、遠心分離機では一度に大量のお酒を造ることができません(通常の10分の1程度)。
遠心分離機で絞ったお酒は、商品ラベルに「遠心分離」と表記してあるので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね♪
【⑤研究室】
1階の分析室では、毎朝タンクから採取したもろみの成分チェック!
他にも、各工程の温度や湿度などの、さまざまなデータを一括管理しています。
こちらは、「仕込み」のタンクの中のもろみのデータです。
酵母が生きるか死ぬかのギリギリの温度でじっくり発酵させた方がお酒の品質は良くなりますが、もろみは生き物。
隣同士にあるタンクでも、温度変化のタイミングや度合いは異なるため、こうしたデータ管理によって獺祭の品質や味のぶれをできるだけ少なくし、数値の異常に即座に対応できる仕組みを整えています。
【蔵見学まとめ】
お酒造りは一年間同じことをしているというイメージがあるかもしれませんが、担当者さんいわく“一年前と全然違うことをしていることもある”そうです
それだけ、日々品質の向上に努めているということですね。
今回旭酒造の酒蔵を見学させていただき、美味しいお酒を造ってそれを維持することが、いかに大変なのかが分かりました。
“品質を落とすのは簡単”ですが、「美味しいお酒を造ってお客さんに喜んでもらいたい」という意識の強さが、獺祭の人気の秘訣なのかも知れません
獺祭を美味しく飲む方法
獺祭を美味しく味わうためには、保存方法も大事です。
【通常の獺祭】
冷蔵庫に保管し、未開封で3ヶ月の保存が可能です。
開栓後は酸化が進むのを防ぐため1週間以内に飲むのがおすすめ。
【スパークリングの獺祭】
冷蔵庫に保管し、未開封で2週間の保存が可能です。
「獺祭は、とっておきの日まで置いておこう♪」と思う方がいるかもしれませんが、獺祭を美味しく飲むためには購入後に早めに飲みきるのがベストです
※旭酒造で販売されているすべての銘柄は、こちらからご確認ください。
獺祭の1番のおすすめは?獺祭3種類を飲み比べしてみました♪
「獺祭はいろんな種類があるけど、どれを選んだら良いの?」そんな方は必見!
お酒大好きな私が実際に3つの種類を飲み比べて、おすすめNo.1を決定したいと思います
今回購入したのは、精米の違いが楽しめる「獺祭 おためしセット(3,300円)」。(値段は2024年9月末時点です)
初めて獺祭を飲む方にはもちろん、贈り物としてもおすすめです。
箱に入っているのは、以下の3本(すべて180ml)です。
左)純米大吟醸 45…お米の繊細な甘みと華やかな香りが感じられる、獺祭のスタンダード。
中)純米大吟醸 磨き二割三分…山田錦を23%(77%)まで磨き上げた、最高の純米大吟醸。
右)純米大吟醸 磨き三割九分…これぞ純米大吟醸。香りは華やかで、蜂蜜のような甘さが口いっぱいに広がります。
それでは、さっそく飲んでみましょう♪
【純米大吟醸 45】
最初に飲むのは、獺祭のスタンダードである「純米大吟醸 45(2,183円/720ml)」。
獺祭の中で最も手に取りやすい価格なところも、うれしいポイントです。
口に含んだときに感じるフルーティーさが最高♡ 後味もすっきりしており、とても飲みやすかったです。
【純米大吟醸 磨き二割三分】
次に飲んだのは、「純米大吟醸 磨き二割三分(5,720円/720ml)」。
酒米は磨けば磨くほど雑味がなくなり、飲みやすくなると言われています。
質の高い山田錦を贅沢に23%まで磨き上げているこのお酒は、フルーティーさを保ったまま、研ぎ澄まされた旨みが凝縮されているなと感じました
3つの中で一番磨かれているお酒ですのでやはり他と比べると飲みやすさ、フルーティーさが際立っていると感じました!
甘くてあまり日本酒を飲みなれていない方でも美味しくいただけるのではないでしょうか
【純米大吟醸 磨き三割九分】
最後に飲んだのは、「純米大吟醸 磨き三割九分(2,750円/720ml)」。
「ただのお酒好きのわたしに、違いが分かるのかな?」と当初は半信半疑だったのですが、このお酒はこれまで飲んだ「純米大吟醸 45」とも「純米大吟醸 磨き二割三分」とも、確かに味が違いました…。笑
個人的には、“純米大吟醸 45の味が凝縮された味”というイメージです
【飲み比べまとめ】
獺祭の魅力は、フルーティーな甘みがあって飲みやすく、後味がすっきりしていること。
やはり、どれも飲みやすくてとても美味しかったです
三割九分はお酒の旨みが凝縮されている感じで、二割三分は三割九分をより飲みやすくした感じだなと思いました。
「日本酒が苦手…」という方に最もおすすめなのは、手に取りやすい価格帯で個人的に最もフルーティーさを感じられた「純米大吟醸 45」。
まずは一口飲んでみなければはじまらない…ということで、手始めにこちらの「獺祭 おためしセット」で飲み比べてみるのもおすすめです♪
獺祭は“厳選されたお米と素敵な職人さんたち”が作った最高のお酒!
今回は、岩国市周東町にある「旭酒造株式会社」の獺祭を徹底解説しました。
獺祭の魅力は伝わりましたか?
機械に任せられないところは手作業で行い、綿密に計算された方法でデータ数値を「見える化」して行うことで、美味しいお酒が出来上がるんですね♪
今回、旭酒造に数回足を運んだのですが、すれ違う職人さんたちが、いつも優しく挨拶してくださったのがとても印象的でした。
こうした心の優しい職人さんたちが獺祭を造っているのだと知れたことも、今回取材できて良かったことのひとつです。
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