赤崎山の北東斜面にある自然にできたすり鉢状の地形を巧みに利用した野外劇場。
谷底の踊庭(おどりにわ)で奉納される「楽踊」「南条踊」「芝居」などを観覧する場として整備されました。
階段状の桟敷は「高桟敷」と呼ばれ、一段の石積みの高さは90~170㎝。
踊庭は「平桟敷」と呼ばれていました。
北側4段 東側12段 南側5段、総面積1,611㎡。
ヨーロッパ古代の野外劇場を想起させるほど独創的な構造となっており、その学問的価値は民俗学だけにとどまらず、演劇、歴史、建築学においても研究資料としての価値も高く貴重な文化財であるといわれています。
楽桟敷そのものが最初いつごろに設けられたか確かな記録は残っていませんが、奉納される楽踊りは、慶長元年(1596年)当地方一帯に牛馬の疫病が発生したとき、牛馬の守護神である赤崎神社に平癒を祈願し、その立願成就への感謝の意を現そうとしたことがきっかけとなったと言われています。
(深川村内でも380頭の牛馬が疫死しました。)
しかし、その頃の客席や舞台は、現代のように階段状に整備されたかたちではなく、すり鉢上の低部を平面にならし踊り場とした程度だと思われ、江戸中期以後、全国的に農村部を中心として歌舞伎芝居が流行していくようになり、楽踊・南条踊に加え地芝居を奉納するようになったことから演じる場として芝居舞台も建設(昭和38年に解体)され、同時に桟敷も整備拡張されました。
この頃から下部のほうから徐々に石垣が積上げられ、階段状馬蹄形桟敷として形態を整えるようになり「楽桟敷」と呼称されるようになりました。
(楽桟敷の基本的なかたちは、江戸時代から明治初期にかけて、ほぼ現在の形態に近い形で構築され、その後、部分的な増築拡張も行われたといわれています。)
楽踊は、毎年9月10日、赤崎神社の例祭に、湯本南条踊とともに楽桟敷で奉納される踊です。
基本情報
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